武藤一彦のUSPGAツアーリポート
シニアルーキー"フレディ"が驚異の快進撃!!
初参戦のシニアツアーで3戦2勝!!
その快進撃の秘密とは!?
ゴルフ10大ニュース その6
文:武藤 一彦

米チャンピオンズツアーの開幕戦「三菱エレクトリック選手権」
(ハワイ島フアラライコース)でトム・ワトソンが優勝を飾った。
優勝争いは今季からシニアデビューのフレッド・カプルスとの争い
だった。
60歳のワトソン、シニアツアー開幕戦で勝利!
昨年の「全英」の惜敗を払拭する感動のドラマ!

米チャンピオンズツアーの開幕戦「三菱エレクトリック選手権」
(ハワイ島フアラライコース)でトム・ワトソンが優勝を飾った。
優勝争いは今季からシニアデビューのフレッド・カプルスとの争い
だった。
60歳のワトソンVS50歳、カプルスの新旧対決は手に汗握る
激戦となり、最終ホールでワトソンがスーパーショットを放ちバーディ
を奪う劇的な決着だった。昨年スコットランド・ターンベリーでの
最古のトーナメント、「全英オープン」で59歳ワトソンが
スチュワート・シンク(米)とプレーオフ、最後は惜しくも力尽き2位に
終わった名勝負は、世界を感動の渦に巻き込んだものだった。
その後、60歳となったワトソンが2010年を迎えて達成した
60歳の開幕戦優勝は、相手が10歳下の"若者"を下したものだけに
感動を新たにした。

ワトソンのショットは1メートルについた。トップタイで迎えた
最終18番のショットは、ピン手前8メートルに落ちると転がって
カップに寄った。1メートルしかないウイニングパットは強い
フックラインとなってカップを割った。
両手を掲げ、何度も天に突き上げるガッツポーズ。「自分の実力
を測る目安は優勝すること。またこれから自信をもってプレーを
続けていける」としっかりとした口調で言い切った。
この大会で初日63のビッグスコアの首位で飛び出したワトソン。
最終日を首位で迎えたが、同組のカプルスも絶好調。10番パー5
ではセカンドショットを3メートルにナイスオン。イーグルパット
を決め初めて首位に立った。その後3連続バーディで首位を奪い返す
ワトソン。
しかし15番でカプルスは5メートルのバーディパットを決める
と再びトップへ。めまぐるしく首位が入れ替わった。追い込まれた
ワトソン、もう盛り返せないのか。だが、17番パー3,6アイアン
で3メートルにつけてバーディ、その勢いを最終ホールのバーディへと
つなげた。

59歳で「ジ・オープン」のタイトルを逃した09年、7月。
「今回だけは勝ちたかった」がっくりと肩を落とすワトソンに悲壮感
が漂っていた。しかし、世界のゴルフファンだけでなくスポーツファン
に夢と力を与えた快挙は、ワトソン自身にも大きなパワーとエネルギー
をもたらしてくれた。
「もう一回、いやこれから先も、やっていけると感じた。勝つことが
大切だということも改めて必要なこと、と確認した」。
しかし、現実は甘くない。09年シーズン後半、本拠とする
チャンピオンズツアーでは、何度も優勝争いに絡みながらついに
勝てなかった。"勝ち運"常勝に慣れたワトソンからグッドラック
は離れてしまったのか。「努力しても勝てないのがゴルフだ。
だから勝つことが大切なのだ」改めて自分に言い聞かせた今大会だった。
"グッドルーザー"のルーキー・カプルスに
今年大暴れの予感を感じる!

カプルスのドライバーショットは唸りをあげた。ショートアイアン
で狙うショットはすべてバーディチャンスに見えた。3日間54ホール
で21アンダー、本来なら優勝スコアだ。
カプルスは若さとパワー、デビュー戦の興奮をそのままコースに
持ち込む大迫力だった。だが、ワトソンのドライバーも290ヤード
を超えた。飛距離は10ヤードほど置いて行かれたが、安定度でカバー
した。アイアンはいつも通りに冴えていた。課題のパットは2日目に
連続3パットがあっただけ。ミドル距離のいいパットが次々と決まった。
22アンダー。快勝だった。
ワトソンゴルフの結実。その偉業をとどめる絶賛の言葉は引きも
切らない。そんな中でもカプルスの感慨がふさわしいかもしれない。
「ミスターワトソンにはこれまでも多くのものをもらってきたが、
今回は勇気と強い気持ちをもらった。僕の今年の目標は7月の
全英オープンそしてマスターズトーナメント。中でも全英オープンは
優勝したい。ミスターワトソンが果たせなかった夢を僕が叶えたいと思う」
クールなカプルスの熱い気持ち。老若を問わずゴルファーなら誰もが
抱くであろう熱い思いと一緒だろう。

以上、ゴルフネットワークで大会の模様を解説してのレポート。
アナウンサーは横山正和さん、CSテレビで何回か放送されるので
ご覧ください。
大会にはジェイ・ハースが出場していたが、同じ週、カリフォルニア州
パームスプリングスで行われたPGAツアーのボブ・ホープクラシックは
27歳の次男ビル・ハースが優勝した。
チャンピオンズツアーの06,07年連続賞金王のジェイ・ハースは
ハワイでは17位。次男坊の優勝争いに自分のプレーどころではなかった
ことだろう。この一家は兄のジェイジュニアもプロ。叔父には1968年
マスターズ優勝のボブ・ゴールビーという伝説のゴルフ一家である。
ゴルフは長い、長~い戦い。ワトソン、カプルス、そしてハース親子へと
見えない糸で結ばれて次々とエピソードが織りなされていく。
写真はPGA TOURより
◇武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。
報知新聞社運動部、編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントの
テレビ解説、コラムなど幅広く活躍。日本プロゴルフ協会(JPGA)
理事、日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会委員、
世界ゴルフ殿堂選考委員。1939年11月、東京生まれ
Date:2010.02.02 Category:コラム