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2009年、ゴルフ10大ニュース  その4

 
文:武藤 一彦
 

第1の運・・・何事にも前向きな姿勢

 

3つの強運を自分のものにして賞金女王の座に輝いた横峯さくら
 
 
 
 

 グッドラック、バッドラックがつきもののゴルフにとって、勝運を
引き寄せるか、悪運に取りつかれるかは人生も変わる重大事。
女子ツアーの賞金女王横峯さくらの09年はまさに勝運が人生を
変えた瞬間といえる。
09年10大ニュースのシリーズ4弾目は「さくらに見る運のつかみ方」
の考察です。


 09年、さくらの賞金女王はツアー最終戦の「LPGAツアーチャンピオン
シップリコーカップ」の最終日の逆転劇で決まったことはすでに述べた。
逃げる諸見里しのぶを追った最終日、横峯は14番のチップインバーディ、
15番の"OKバーディ"で追いつき追い越して劇的な逆転優勝を達成した。
そしてシーズン初めに掲げた「賞金女王になる」という目標を見事に達成した。

 初の女王の座。04年プロ入りしわずか3戦でシード入り、ツアー
本格参戦の05年から4位、3位、2位、3位。そしてついに座った
女子プロゴルフナンバー1の座に「信じられない。実現するとは
思わなかった」泣き崩れる身をキャディのベネットさんに支えられ、
ようやく立っている姿は感動的だった。

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さくらのゴルフを良く理解し活躍できた陰の功労者、キャディのベネット
彼との出会いも或いはさくらに供わった強運かも知れない
 
 
 

 しかし、この2つのキーホールだけが勝因ではない。リードしてから
の上がり3ホールを無難に乗り越え、再逆転を目指す後続組の追い上げ
も急だった。しかし、結果的に2つのバーディを大詰めでマークする
強運が勝敗を分けた。横峯の持つ運は強く、前向きであるということだ。
 

第2の強運・・・沖縄、九州勢の中でもまれる

 
 話はさかのぼる。女子プロゴルフ界の今日の隆盛を振り返る時、必ず
よぎるのは02年の「日本女子アマ選手権」だ。千葉・成田の
オークヒルズCCで開催されたこの試合の準決勝には、上原彩子、
諸見里しのぶ、宮里藍の沖縄勢3人と竹村千里の4人が進出した。

 この時話題となったのは4人の若さと沖縄勢の台頭である。結論を先に
言えば、このことが今日の女子プロゴルフの人気につながっている、
今の女子プロ隆盛はここから始まったと断言していい。

 さらに結論を先に述べると、マッチプレーで争われた準決勝は15歳の
諸見里と17歳の宮里が対戦、諸見里が勝ち上がり、第2試合の
上原彩子対竹村戦は18歳の上原が14歳の中学3年生、竹村に勝った。
決勝では上原が諸見里を下して優勝を飾っている。ちなみに千里は
竹村真琴の姉である。

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2002年の日本女子アマのベスト4に進出した宮里 藍と優勝した上原彩子
下はやはりベスト4入りした竹村千里(左)と諸見里しのぶ
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 ここでさらに強調したいのは沖縄および九州勢である。実はゴルフ界に
とっては大変革だったのだ。当時、ゴルフにおいて沖縄ほど人が育たず
不毛の地と言われていた所はなかった。またゴルフは熟練のゲームで
あって、たとえアマのタイトルであれ、これほどの大人数のジュニアの
活躍はかつてなく、当時は大騒ぎとなったのである。 

 
 さて横峯である。実はこの「日本女子アマ」にも出場していたが、
上位進出はならず、その後もいい成績は残せなかった。彼女は鹿児島出身。
だが、熊本の不動裕里、古閑美保ら九州勢の圧倒的な流れの中に身を置き、
若手のホープとしてメキメキと力をつけた。

 このことが横峯の運をさらに良い方向へ発展させることにつながった。
強い九州の中心選手として、強いライバルを身近に、メラメラと切磋琢磨。
いい環境は人を育てるのである。
 

第3の運・・・国内競技を最優先にしていた

 

 プロとなって彼女たちの身の振り方がそれぞれ違ったが、その対応でも
横峯の選んだ道には強運が働いたと見る。宮里は米ツアーを目指し諸見里も
1年目はアメリカに挑戦した。国内組も誰もが世界を視野に入れていたが、
その中で横峯だけは違った。このことに関して断固として言ったものである
 「アメリカには行かない。日本でやる。メジャーになら出てもいい」と。
 父でコーチの由郎さんも「日本の女子プロツアーは世界の黄金ツアー。
世界に出ていかなくてもしっかり日本でやります」と言っていた。

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同年代の沖縄・九州勢の強力なライバルとの切磋琢磨がさくらを成長させた
 
 
 

 誰もが世界を目指す、メジャーだ、世界制覇だ、と言っている時にも
知らん顔を決めた。これが強運の"第3の運"の流れである。時折、
メジャーに出て成績が上がらなくても
 「力不足でした。もっと実力をつけてまた頑張りまーす」
 拠点の置き方が違うからおっとりしているのだが、そんなことは気に
しないで国内を重視した。

 キャンピングカーで寝泊まりしながらトーナメントを転戦、その生き方、
子育てなどが注目されると、由郎さんは参議院議員へと異色のゴルフ一家。
 その破天荒にも見える言動は、しかし、すべてがゴルフに向けられて
プラスと出た。そして賞金女王。09年は6勝、通算15勝。獲得賞金総額
だけで5億7600万円になった。プロゴルファーとしての成功者への道の
順調な歩みの証明だろう。

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昨年は年間6勝をあげた横峯さくら。今年も活躍が期待される
 
 
 

 横峯さくら。不思議な魅力に溢れて見える。地球ではもはや珍しい動物
を見つけることもなくなったが、ゴルファーとしては珍しいタイプの
プレーヤーに見える。独特のオーバースウィング、独特のパッティング、
独特の表情は多彩だ。2010年はどんな変貌をみせるのだろうか。

写真はGDOより
 

 

◇武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。
報知新聞社運動部、編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントの
テレビ解説、コラムなど幅広く活躍。日本プロゴルフ協会(JPGA)
理事、日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会委員、世界ゴルフ
殿堂選考委員。1939年11月、東京生まれ。

 

Date:2010.01.20 Category:コラム