ジャンボ尾崎、114勝に向けての飽くなき戦い!
この度の『ジャンボ尾崎将司プロ特集』の中でも目玉となるのが今回掲載する愛用クラブの特集です。特にジャンボ尾崎プロが大事に保管する歴代の愛用クラブは、ほとんどが刻印付きで、実際にジャンボ尾崎プロが数々のトーナメントで使用したモデルとして、これまでは門外不出でした。
武藤一彦のPGAツアーリポート
日本ツアーは5月最終週の「ダイヤモンドカップ」(埼玉・狭山GC)から
いよいよ夏の陣、ガラリと様相を変えて始まるが、その前にお伝えしておきたい
ことがある。
今季、初のメジャー「日本プロゴルフ選手権」でのことである。

"58"の世界記録でギネス認定直後まさかの予選落ち
石川は予選落ちした。プロとなって3年経ったが、これで3年連続の予選落ち。
「日本プロ」はプロナンバーワンを決める大会なのに、これまで1回も決勝ラウンドに
進出していない。その現実は自他ともにショックな出来事となった。
まして大会は、58の世界記録、ギネスまでが認定した世界的な話題となったあの
「中日クラウンズ」の直後だけに、その落差の大きさへの戸惑いはあちこちに現れた。

わたしが一番注目したのは、石川の受け取り方である。
「中日クラウンズ」で58を出し大逆転優勝、期待感いっぱいで乗り込んだ長崎の
「日本プロ」では2日目に78、その差は20ストローク。
その現実を"これがゴルフ"と軽く片付けるのか、"至らなかった"と反省するのか、
あるいは"長いツアーの一断面、こんなこともありますよ"とうそぶくのか、その対処の
仕方である。
実は、「日本プロ」で石川が優勝すると、18歳の最年少優勝の記録が掛かっていた。
15歳で日本ツアーを制した奇跡の少年、次はメジャー最年少Vを18歳で達成・・・。
大きなニュースが予想され、周囲も石川も期待を持って臨んでいた。
結果は、決勝進出の掛かった第2ラウンドで大崩れ。アウトコース3番ホールで
セカンドショットを左に曲げOBのダブルボギー、インに入っても調子は上がらず、
挽回の期待が掛かる13番パー5でもセカンドショットをOB、それも2連発OBの「8」
を叩いた。
この日は石川にとってまさに完敗だった。


「完全なミス」に表された潔さ
完璧の後の"ゴルフの罠"か?
ゴルフにはいろいろなことが起こるし、選手の内面を推し量るのは本当に難しい。
そうした時に過去の事例を結論づけるのは、当事者である選手の言葉である。それは反省で
あったり、決意や生き方だったり、将来を見据えた挑戦や賭けだったり、いずれにせよ、
心理面の吐露がなされ活字となり、声となって世間に記憶されていく。
予選落ち後の石川は、インタビュールームで潔かった。
いずれも第2打が"鬼門のショット"となったのは、偶然ではないようだ。
3番ホールのOBは「8アイアンのひっかけ」。13番のOBはフェアウエイウッドの
「距離の読み違いによる無理攻め。2オンを狙ったものの届かなかった完全なミス」といった。
私は58の後遺症とみていたので、潔くミスを認める石川に強く"同意"した。
前週の58のスコアも、もちろんのこと関連して話題に上がった。
「クラウンズのときはショットの距離感、スピンのコントロール、すべてが思い通りに
いった素晴らしい完璧のラウンド」と、酔ったように振り返った。
ここからは私見だが、完璧なゴルフの後だけに怖さを無視しがちな心理面があったかと
思った。1打1ショットにパーフェクトを求め過ぎた時、破たんが起こり得る。
長く取材していると、それらがゴルフの真理となる。
「ゴルフに同じ状況は絶対にない。ゴルフのショットは常に初めてのショット、
同じものは二度とない」(ボビー・ジョーンズ)のである。
石川はそんな"ゴルフの罠"に落ちたのだと思うしかない。

最年少Vよりも、長くしっかり
これぞツアープロ石川の歩き方
人は悪い時にこそ、その人が出るといわれる。
一連の悪いラウンド後、石川は、しかし、ちっとも悪びれなかった。さすがにがっかり
した様子は見せたが、捨て鉢な言動はついになかった。
そればかりか、私にはシーズンに入ってからの長い間の疑問が解けるこんな言葉が
印象に残った。
「ゴルフをやっていく上で、最年少で優勝できることが大事かといわれれば、
僕にはそうは思わないということになる。そういう点で何を価値観にするかといわれたら、
ゴルフをいかに長い間、しっかりできるかどうかの方に価値観を置いていきたい」
"最年少Vのチャンスを逃してしまった"ことへの質問にきっぱりと答えたものであった。
最年少で勝つことが重要なのではない、いいゴルフを長く追求し積み重ねることに
意味があります、とズバリ言い切っている。
自分が次々と打ち立てた数々の金字塔。それはそれ。でも、大事なことは長くゴルフを
続けること、そしてその中で57も出したいし、もっと他のこともできるはずだ、と
言い切ったのである。
この結論、そのスタンスに立つツアープロ石川遼の歩き方なのである。
実に"ナイスショットな言葉"である。
写真は PGA、GDO より
◇武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。
報知新聞社運動部、編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントのテレビ解説、コラムなど幅広く活躍。日本プロゴルフ協会(JPGA)理事、日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会委員、世界ゴルフ殿堂選考委員。1939年11月、東京生まれ
Date:2010.05.26 Category:リポート