ゴルフの2011年の開幕を飾るアジア対欧州ツアー対抗戦「ザ・ロイヤルトロフィー」はアジア選抜が最終日にまさかの大逆転負けで終わった。
2日間を終わって6対2と断然リードして迎えたアジアは、9日の最終日、個人戦8試合のうち2・5ポイントを挙げれば優勝という優位に立ちながら8戦で誰も勝てず、2引き分け6敗と完敗、欧州選抜に大逆転された。

文:武藤一彦
石川遼が「ザ・ロイヤルトロフィー」で始動する。
2011年、石川の始動はタイでの国別対抗戦「ザ・ロイヤルトロフィー」。
アジア選抜と欧州ツアー代表12人同士が3日間、マッチプレー形式で競う、
ツアーの威信をかけた争いだ。
石川はチームメイトの池田勇太、薗田峻輔らと4日、現地入りした。


ただし、この大会後は改めてオフシーズン。恒例のスキーのクロスカントリー
合宿やジャンボ軍団との恒例の強化合宿。4月までトーナメントのない日本
ツアーの間は、マスターズに向け、米PGAツアーをスポット転戦することに
なっている。
シーズン初め、最大の目標は「マスターズで勝つ」。
挑戦3年、過去2回は予選落ちの憂き目に遭っているマスターズに向け「最低
でも優勝争い」と大きく“ふろしき”を広げた。

マスターズは世界メジャーの第1戦。世界のトッププレーヤーの誰もがシーズン
最初の山場と設定し、眼の色を変えてしのぎを削るが、石川にとっての過去
2年間はあまりに厚い壁となっている。
参加90人、世界から選ばれた凝縮したマスタープレーヤーだけの大会。とはいえ、
現役を早くから退いた往年のプレーヤーも多数出場する中、予選通過ライン
上位60人に入れないできているのだ。
石川の悔しさ、もどかしさは想像に余りあるが、日本ツアーとしても世界に誇る
石川の結果の出ないマスターズは、世界ツアーを形成するビッグ市場としては、
なんとも頭の痛い結末となっている。
ドライバーの新兵器を引っ提げてのシーズン開幕である。380CCと“小ぶり”な
ヘッド容積のドライバーをもっぱら手にする石川だが、容積はそのままに、
ヘッド形状を従来の“げんこつ型”からクラシックタイプの“洋ナシ型”に替えた。
「打っていてすごく気持ちがいい。初優勝したマンシングウエアトーナメント
以来のタイプです」
アマで初優勝した15歳のあの大会時、手にしていた洋ナシタイプ。
時代は以来、460CCの“でかヘッド”へと移り、石川も“げんこつ”のように
丸型のヘッドを取っかえ引っかえした。しかし、最近は最大400CC、最小350CC
そして380CCを揃え、コースやコンディション、体調などに合わせ、使い分ける
石川だった。
初心に帰った遼。しかし、これは感覚の問題だろう。
ドライバーの飛距離にこだわり、距離の伸長に世界制覇の夢を託している。
飛ぶ時代へ追いつき追い越せと必死で取り組むその姿には鬼気迫るものがあるが、
そのくらいやってもまだ追いつくかどうかの厳しい世界である。

洋ナシタイプのドライバーはネックが細くボールが捉えやすい。げんこつタイプ
よりボールの強さは若干弱め。しかし、長いフェースはボールを捉えやすく
コントロール性能は高いはずだ。飛距離追求で突っ走った若者が20歳を迎え、
勝負に出たのだろう。
その具体現化がドライバーの選択、それも懐かしい往年の洋ナシタイプを取り
入れたところが面白い。勝負機運を感じるし、マスターズでの優勝争いに向けた
考え抜いた戦略があるのか。注目したい。
タイ、7日開幕の「ザ・ロイヤルトロフィー」には昨年の日本ツアーの賞金王、
金(キム)キョンテもチームメイト。欧州チームには世界ランク18位、エドアルド・
モリナリ(イタリア)やP・ヨハンソン(スウェーデン)もいる。いずれも
マスターズ出場を決めている。
石川の今年を比較するにはもってこいの舞台となるだろう。

写真は GDO より
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武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。報知新聞社運動部、
編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントのテレビ解説、コラムなど幅広く活躍。
日本プロゴルフ協会(JPGA)理事、日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会
委員、世界ゴルフ殿堂選考委員。1939年11月、東京生まれ。
Date:2011.01.07 Category:リポート