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文:武藤 一彦

 

諸見里しのぶの活躍の裏に
「チームゲーム」があった

 あけましておめでとうございます。2010年のスタートは前年から
持ち越した「ゴルフ10大ニュース」です。
 今回はその3、「諸見里しのぶ、チームゲームの勝利」です。

「ワールドレディス選手権サロンパス杯」で今季1勝した諸見里しのぶ
(左はJLPGA樋口久子会長)
 
 
 

 宮里藍の米ツアー初優勝、横峯さくらの賞金女王と話題豊富な09年
だったが、諸見里しのぶの驚異的な活躍は女子プロツアーを大いに盛り
上げる原動力となった。

 諸見里しのぶにとって自身最多の6勝は、5月から9月のわずか5ヶ月間
にあげたものだった。シーズン初勝利は、メジャーに昇格した5月の
「ワールドレディス選手権サロンパス杯」。コースを茨城県・茨城GC西コース
に移した記念大会で逃げ切り優勝だった。

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茨城GCで開催された「ワールドレディス」ではアイアンが冴えわたった
 
 
 

 08年の「日本女子オープン」に次ぐメジャータイトル。4日間、72ホール、
本当の力がないと勝てないといわれる長丁場をものにした。

 6月には兵庫県・六甲国際GCでの「サントリー・レディスオープン」
で2勝目。師事する江連忠コーチのゴルフスクールがあるホームコースで
4日間、72ホールの準メジャー大会とモチベーションをかき立て、勝ちを
意識しての、自信の優勝となった。

 本格的な夏に入り、「プロミスレディス」、8月の「CAT Ladies」と
2勝をあげ、夏場を乗り切りスタミナのあるところも見せた。 9月、
「ゴルフ5レディス」で5勝目。賞金を自己初の1億円、誰よりも早く
大台に乗せた。

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「日本女子プロ選手権」でも優勝、メジャー年間2勝目を達成
 
 
 

 そして迎えた注目の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」でも
見事優勝を飾った。23歳59日はメジャー史上最年少記録。
今季「ワールドレディス」に次ぐ年間メジャー2連勝、
自身ではメジャー通算3勝目だった。

プロ入り後の"勝負弱さ"が
「チームゲーム」で大変身!

 諸見里しのぶはそれまで、"ひよわさ"の代名詞のように言われていた。
 05年、プロ入り、06年に宮里藍とともに米ツアー参戦も順応できず
シード落ち。
 「ミスショットも武器にするくらいの貪欲さがほしい」と江連コーチが、
あまりのふがいなさに怒るシーンが度重なった。アマ時代、05年の
「日本女子アマ」に勝ってはいるが、それまでの3年はマッチプレーの
決勝戦に2回も進出しながら、同じ沖縄の先輩、上原彩子、04年には
これも沖縄、当時14歳の中学生の宮里美香に完敗した。彼女の"勝負弱さ"
はプロ入り後もぬぐえないレッテルとなっていた。

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徹底したスウィング改造でドライバーの精度も格段にアップした
 
 
 

 08年、「日本女子オープン」を不動裕理と競り合って勝った。
これが人生の転機だった。片山晋呉の左スウィング、左手で箸を使う食事
などの影響を受け、「生活をゴルフ一色にした」と必死で取組んだ。
その後、明るさが表面に現れゴルフが生き生きと変わった。

 「周囲の人に恵まれた。コーチ、片山さん、藍先輩、一緒にワールド杯に
行った佐伯三貴さん、すべての人に元気をもらった。100パーセント力を
出し切って倒れてもいいと頑張れるようになった」
 片山はかつての江連の教え子、兄弟、姉妹弟子は多い。

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昨年の諸見里は試合中でも笑顔が多く目に付き、つねにリラックスしていた
 
 
 

 諸見里の言葉は、ついこの間まで個人スポーツの代表のように
受け取られていたゴルフが、確実に「チームゲーム」となったことの
表れだ。他人の力をパワーに変え、隠れた力をさらに引き出す団体戦。
石川遼も池田勇太も学校あげてのチーム、周辺のパワーをあるったけ
集めて成長がある。昨今のツアープロのゴルフスタイルは本当に変わった。

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「チームゲーム」でツアープロのゴルフスタイルが変わった
キャディの役割もそのひとつ。その代表格が諸見里しのぶかも知れない
 
 
 

 5ヶ月間で6勝をあげた諸見里はシーズン半ばにし、誰もが大きな結実を
確信した。だが、残る11戦で"さくらの逆襲"に遭い、賞金女王の夢は
惜しくも砕け散ってしまった。

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ツアー最終戦の横峯の優勝で賞金女王のタイトルを逃した諸見里しのぶ
この悔しい経験は必ず今後の大躍進の原動力となるはずだ
 
 
 

 だが、誰も諸見里の力を疑うものはいない。日米半々で戦う2010年は、
藍ちゃん、さくらを超えるゴルフを間違いなく見せてくれることだろう。

写真はAlbaより

 

◇武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。
報知新聞社運動部、編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントの
テレビ解説、コラムなど幅広く活躍。日本プロゴルフ協会(JPGA)
理事、日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会委員、世界ゴルフ
殿堂選考委員。1939年11月、東京生まれ。

Date:2010.01.06 Category:コラム