ジャンボ尾崎、114勝に向けての飽くなき戦い!
この度の『ジャンボ尾崎将司プロ特集』の中でも目玉となるのが今回掲載する愛用クラブの特集です。特にジャンボ尾崎プロが大事に保管する歴代の愛用クラブは、ほとんどが刻印付きで、実際にジャンボ尾崎プロが数々のトーナメントで使用したモデルとして、これまでは門外不出でした。
文・武藤一彦

宮里美香の急成長ぶりを見事な形で現出した「日本女子オープン選手権」
だった。
茨城・大利根CCで行われた女子日本一を決める日本女子オープンは、
10月3日最終日を迎え、第3日までトップの宮里美香が5バーディ、
1ボギーの68、通算12アンダーの大会最少276ストロークで
2位に6打の大差で逃げ切った。
プロ転向2年目、平成生まれの20歳。現在は米女子ツアーを主戦場に
日本のトップレディスとして頑張っているが、これがうれしいプロ初優勝。
それが伝統の国内最高メジャー競技。ホープが満を持して勝ち取ったタイトルは、
そのキャリアにふさわしいビッグなものとなった。

同郷でともにアメリカツアーで戦う宮里藍の祝福を受けて思わず涙
優勝の瞬間、真っ先に駆け寄ったのは日本ナショナル
チームのOGや出身プロ、その中には宮里藍の姿も。
抱き合って喜ぶ二人は沖縄出身。そして米ツアーで苦楽
を共にする“戦友”だ。
最終日2位に4打差も付けながら78で6位に沈んだ
昨年と同じ、今年の4打差スタートも逆にバネにしての
リベンジだった。
「あの悔しさがあるから今日こそ頑張ろうと、乗り越え
なければならないチャンスをもらった。絶対にスコアを
伸ばそう」と誓ってのこの日、前半を2アンダー、インに
入って14番から3連続バーディと完璧な内容。

佐伯三貴は我慢のゴルフで6打差の単独2位
最終ホールは手堅くいってボギー、その最後のパットは20センチ、
本当ならマークして観衆の祝福に包まれてウイニングパットという
シーンだったが、“お先に”とポン。
あとで“勝者のしきたり”を聞いて、「知らなかった」と大笑いとなる
初々しいプロ初優勝だった。
2位の佐伯三貴に6打差、最終組で一緒に回った沖縄の先輩、
上原彩子は6位。米ツアーで5勝の藍先輩は7位。昨年までの大会で
2年連続カップをさらっていた韓国パワーの快進撃も止める日本ゴルフ界
を救う大金星。
強くて新鮮な新しい日本人ゴルファーの誕生だった。日本のゴルフ界
にとっては、またひとり期待していい素材、スターの誕生だ。
宮里美香は、04年の「日本女子アマチュア選手権」チャンピオン。
またしても沖縄出身の快挙だが、日本女子アマのタイトルは世界に羽ばたく
トッププレーヤーのお守りのようなものだ。美香は沖縄・松島中学3年生、
何と14歳で女王の座についている。
日本アマといえば沖縄。そして日本女子ゴルフの現在の縮図を形成する。
優勝者を辿ると02年上原彩子、この時マッチプレーで争ったのは同郷の
諸見里しのぶ。03年は宮里藍、そして04年は美香が優勝、05年は
諸見里だ。この沖縄勢が現在の女子プロ界をリードしているのはいうまでもない。
「日本女子オープン」の優勝者から沖縄勢を拾えば、それがはっきり
してくる。01年島袋美幸、05年宮里藍、07年諸見里、そして今年の
美香。女子ゴルフはこれに古閑美保、横峯さくらら九州勢が加わって
戦国様相である。


美香の存在はこうした背景を無視しては理解できないが、なかでも藍。
美香と藍の年齢差は5歳。藍が高校3年で日本ツアーの「ミヤギテレビ・
ダンロップオープン」に優勝したときが17歳。そのとき沖縄でアマとして
芽を出し始めたのが美香である。
沖縄ブームは色濃く中学生に浸透していた。中学生になったばかりの
美香は、お姉さんたちの活躍を遠くに見やりながら、ゴルフと漢字検定に
取り組む一人のジュニアゴルファーだった。
その後、メキメキと力をつけて中学3年で日本アマに出場、あれよあれよ
という間に勝ち進むと、決勝戦で当時高校2年生の諸見里を圧倒して優勝を
飾った。
この時、勝ってあっけらかんとする美香より、敗れて呆然とする諸見里の
ことの方が忘れられない。
「同じ沖縄の2歳下の中学生に完敗した。アイアン技術のつたなさを思い
知らされ自失している」と涙した。
その諸見里はプロ入りし米ツアー入り、1年間を経て、昨年日本ツアー
賞金2位である。
14歳の中学生の見た世界は奔流のような流れであったことが手に取る
ようにわかる。沖縄から女子ツアーへ、あっちのお姉さん、こっちの誰々さん
と世に出ていく。世界で存在感を示している。
美香は沖縄・興南高校に入ると、ナショナルチームのエースとして
世界と戦った。女子のトップアマプレーヤーが必ず通る道、そしてこの道筋に
ある世界との激しい戦いで揉まれ耐えなければプロとしての成功はない。
この流れが今の女子プロゴルフ界を形成する。
藍はじめ有村智恵、今は不調だが原江里菜、若林舞衣子、森田理香子…
皆この範疇である。外国勢もアマの試合で将来を睨み、しのぎを削る素材を
どんどん送り込んでくる。そこはジュニアプロツアーといっていい世界だ。




美香は、高校を卒業すると迷わず米ツアーQT(出場予選会)を受験、
12位でシード権を取った。同じ時期フロリダのIMGアカデミーに入った。
ポーラ・クリ―マーらトップクラスのゴルファーを生み出すトップアスリート
養成のアカデミーには全米中から将来のスターを夢見る卵が集まる。
そこはゴルフだけではない。アメリカンフットボール、テニス、陸上、水泳…
プロテニスプレーヤーの錦織圭も一員だ。
そこで美香は米生活とツアー生活を始めた。ほとんどが転戦だが、トレーニング、
メンタルのコーチングを受ける生活を選んだのだ。したがって、日本人で
ありながら日本のプロテストは受けていない。日本のプロライセンスは
持っていないから、今回の日本女子オープンの出場枠は世界ランキングによる。
美香は沖縄出身で日本の生んだ日本のプレーヤーだが、これまでの女子プロ
とはまったく異質のプレーヤー。あえて言うなら日本の体質が生み出した
新しい日本人、と言い切るのはそのせいである。

チャンピオン美香は10月4日、米ツアーの次戦「ナビスタークラシック」
出場のためアメリカへ発った。藍も同日アメリカへ。
この慌ただしさ、人生展開の潔さ。四の五の言えない決断に余儀のない世界が
今の女子プロゴルファーの生活である。スタミナと生きがいが頼りとなる。
今の美香と藍なら、笑顔で乗り切ってくるだろう。
写真は JGA より
http://www.jga.or.jp/jga/jsp/2010/07-0/top.html
Date:2010.10.05 Category:リポート