あそび心が"時と打"を刻む。
ゴルフの聖地に魅せられて誕生した"伝統と革新"の融合
取材・文:大山 郁夫

St Andrews Links Sapphire (SD1)
セント・アンドリュース・リンクス・サファイヤ
販売価格:¥1,722,000
ヤーマン&ストゥービという時計メーカーをご存知だろうか?
ほとんどの方が"えっ?"と応えるかもしれない。
それもそのはず、スイスにあるウォッチメーカーとは言え、
創業は2007年と新しい。
創業者であるパスカル・ストゥービとウルス・ヤーマンは2002年に
出会ったという。
ストゥービが持つ時計製造の経験とヤーマンの願いが重なり、
スイス製の精巧な高級ゴルフ・ウォッチを造るという同じビジョンを
2人が抱いた瞬間である。
ヤーマンはゴルフをこよなく愛する青年だった。その彼がゴルフの聖地、
英国・スコットランドのセント・アンドルースでのプレーからヒントを得、
2人で開発し誕生したのが『St Andrews Links』コレクションだ。


この時計は単にゴルフの聖地の名を冠にしたわけではない。
そのホールだけでなく18ホールのストローク数やハンディキャップを
含めたスコアを見ることが出来る画期的な機械式時計なのだ。
ではどうしてゴルフカウンター付きの腕時計など作る気になったのだろうか?
それもセント・アンドルースの名を付けたものを。
これは筆者の独断と偏見によるところ大だが、
憧れであったゴルフの聖地をプレーしたものの、その洗礼を大いに浴びたのでは
なかろうか?俗に言う"大叩き"を演じた仕返しを、ゴルフ・ウォッチという
カタチに表現し、聖地に畏敬の念を抱いたに違いない。
それは、ある意味で時計に"あそび心"を持たせたということかもしれない。
ゴルフとは所詮、遊びである。どうせ遊ぶなら使う用具や身に付けるものにも
遊び心があれば、ゴルフの楽しさも倍増するに違いない。

そう言えば、今では世界的に有名になったパターデザイナーの
スコッティ・キャメロンもそうだった。彼の造るパターは
今や世界のトッププレーヤーから絶賛されている。
その理由は"機能性の高さ"である。
しかし、その機能性に"あそび心"を表現しているところが
またキャメロン人気の大きな要因のひとつでもある。
時計の世界では"伝統"ということが重要視される。
腕時計が誕生した19世紀から匠の手によりまさに手造り
の手法が現代まで受け継がれ、それが伝統=信頼に繋がる。
ではヤーマン&ストゥービはどうか。
確かに創業的に言えば、伝統などまったくなく、時計メーカーとしては
ニューカマーである。
しかし、その時計造りには妥協を許さぬスイスの伝統である匠の技を踏襲し、
さらに現在の最先端技術と素材を採用し十分に活かされた逸品ばかりである。
そういう意味ではヤーマン&ストゥービのゴルフ・ウォッチは
まさに"伝統と革新"の融合であり、新しい時計造りの伝統の始まり
と言えるかもしれない。


Date:2009.07.01 Category:スタイル





