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元祖・早打ちマックの華麗なるゴルフ人生


文:武藤 一彦
写真:ゲーリー小林

カウボーイハットが似合う元祖・早打ちマックことヒューバート・グリーン

 


 

ヒュービーを一躍人気者にした"ミルクマン・パット"

 

 カウボーイハットに細身のパンツ。小さく丸い目を遠くにやると前傾を
深くしたアドレスから目にも留まらぬショットを放つ。

 ヒューバート・グリーンは独特のスウィングを持った米ツアーの顔の一人
だった。
 ショットはとにかく早打ちだった。アドレスすると足をバタバタと動かす。
首を何度も目標とボールの間を往復させると、さっと上げバシッと一閃、
ひらめきが走る切れが際立った。ついたあだ名が早打ちマック。米のテレビ
アニメの西部劇のヒーローにちなんだ愛称だった。

 
 このニックネーム、日本では本来、千葉・我孫子出身の早打ち、
佐藤精一プロのものだったが、本場がやってきては、本場に返すしかない。
"ヒュービー"の愛称と同じように日本のファンは「早打ちマック」に親しんだ。

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グローブをせず、構えたら直ぐに打つ、これがヒュービーのゴルフスタイル
 
 
 

 手袋をせずクラブを短く扱う、ループスウィングの名手でもあった。
バックスウィングでアウトサイドに上げ、ダウンスウィングでインサイド
に引き付ける独特のスウィングは、今でこそジム・ヒューリックが有名だが、
何と言ってもグリーンが元祖。

 ひょうひょうと笑いさえ浮かべてボールに近づき、やおらスタンスを決める
と火を吐く低い弾道で目標をとらえ続けた。流れるリズム、独特のテンポ。
グリーンは誰が見てもグリーンだった。

 しかし、グリーンのグリーンたるゆえんはグリーン上だ。誰よりもワイドな
スタンスから深々と前掲し、やってのける牛乳搾りパットだった。パターの
グリップを何度も握り、緩めする様はあたかも牛乳搾りに似た動き。
そこで米メディアがつけたネーミングは「ミルクマン・パッティング」

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グリーンを一躍有名にしたのは"ミルクマン・パッティング"
その独特のスタイルに多くのゴルフファンが親しみを抱いた
 
 
 

 なんと絶妙のネーミングだったことだろう。だからアドレスはどうしても長く
なる。打ち気が出るまで、大事な場面ほど、グリーン上の「ニギニギ」は長く
なった。そんな時ギャラリーは「今日は乳の出が悪いね」などといって笑って
気長に待った。

 その上、当時使っていたパターが納屋の中から引っ張り出してきた女性用、
「おそらく1920年代のものでおばーちゃんが放り出していったシロモノ」
と本人が言うほどのクラシッククラブとくれば、もうゴルファーなら面白くて
おかしくて、すっかりツアーの人気をさらったものだった。 (to be continued )

 

 

◇小林 滋(こばやし しげる)
ゲーリー・小林の名で知られる日本を代表するプロゴルフトーナメント
カメラマン。日本国内はもとより世界4大メジャーなど多くのプロゴルフ
トーナメントを取材。国内外のプロとも親交が厚く、中でもタイガー・
ウッズに最も信頼されているカメラマン。これまでの収録枚数は20万点以上。

◇武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。
報知新聞社運動部、編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントの
テレビ解説、コラムなど幅広く活躍。日本プロゴルフ協会(JPGA)
理事、日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会委員、世界ゴルフ
殿堂選考委員。1939年11月、東京生まれ。

Date:2010.01.03 Category:ゴルファー