武藤一彦のLPGAツアーリポート
ファンの心配は現実味を帯びてきた。
女子ツアー「西陣レディスクラシック」(熊本空港CC・6473ヤード、
パー72)は、韓国の朴仁妃(21)が優勝した。
2位を2回、それもアクシデントを乗り越えた末の日本ツアー初優勝は、
韓国パワーの爆発だ。予測された底力はシーズン早々に早くも強烈な
エネルギーを発散し、韓国パワーが日本ツアーを席巻し始めた。

プレーオフを制し日本ツアー初優勝!
予期せぬ結末からの起死回生
首位を走っていた上田桃子がズルズルと後退。代わって首位に上がった
天沼知恵子に期待がかかった最終ホール、朴は2mのバーディを難なく決め
サドンデスプレーオフへ。
その1ホール目、天沼がセカンドをグリーンオーバー。アプローチもオーバー、
奥の池の淵までボールをころがしては勝負にならなかった。


朴はバーディチャンスを確実に決め、優勝を飾った。
2008年のメジャー全米女子オープンの覇者。実力ナンバーワンの優勝は
順当だが、試練を乗り越えたパワーに拍手を送りたい。
今季2戦2位。めったにない出来事が朴を襲ったのは、2戦目のヨコハマ
タイヤ・PRGRレディスカップ(土佐CC)だった。54ホールを終え首位。
ギャラリーの祝福を受け、スコア提出所で問題は待っていた。
1番でパットの時ボールが動いたことが判明、2打罰となった。当人は
気づかなかったが、あとでテレビなどで確認された。
4月第1週のスタジオアリスオープン(花屋敷GCよかわ)は、有村の
猛追にあってプレーオフで敗れた。勝ち運に見放されたプロは嫌なジンクス
を背負って前途不安だった。だが、・・・。
初優勝は全米女子オープン
大会最年少記録を破る19歳の快挙だった
インビー朴。米女子ツアーのライセンスを保持するれっきとした世界的
プレーヤーだ。米ツアーのプレーヤーズネームは"In-Bee Park"。
朴セリ、グレース朴、グローリー朴、アンジェラ朴・・・。朴名の多い中、
米ツアーもその名前表記には苦労している。
「インビー パーク」といえば、アメリカで誰知らぬ者はいない。
インビー朴を知ったのは、04年、ラスベガスで行われた米ツアー、
武富士クラシック。砂漠の強風が吹き荒れる最終日、朴は71のベスト
スコア、並みいるプロを脅かす8位となった。
当時15歳のアマチュア。優勝したクリスティー・カーとは5打差だった。
福島晃子、東尾理子は43位だったのだから驚きだった。
10歳でゴルフを知り、2001年、フロリダに一家で移住。メキメキ
力をつけ、03年の全米アマ選手権ではベスト4。スウィングは今より
大胆でパワフル。ヘッドスピードを限界まであげて迫力があった。
ラスベガスのネバダ大に進学、05年の同大会で5位になった。06年
プロ入り、下部のフューチュツアー賞金で3位となり、米女子ツアーシード
を取った。
08年、19歳で全米女子オープン優勝は世界的な偉業となった。
メジャータイトルが初優勝。19歳は、かつて朴セリが20歳で達成した
大会最年少記録を破る快挙をあっさりと再現して見せた。

炸裂する韓国パワーに揺さぶられる日本ツアー
日本勢の巻き返しに期待したい
今大会は16、18番をいずれもプレッシャーのかかるパットを決めた。
天沼知恵子が15番から3連続バーディで5年ぶり優勝かと思われたが、
朴の落ち着いたプレーが光った。プレーオフは天沼のミスが先行して、朴の
強さが際立った。
「プロとなって1勝目が全米女子オープン。それ以来の優勝をやっとできた
思い、本当にうれしい」

今季は日本ツアーを本拠地と決め、その新たな挑戦が順調に滑り出した朴。
昨年の米ツアー女王の申ジエ、今季開幕のダイキンオーキッドレディスを
勝ったアン・ソンジュ。
ツアーはとんでもない強豪をまた一人迎え入れた。

写真はGDOより
◇武藤 一彦(むとう かずひこ) ゴルフジャーナリスト 評論家。
報知新聞社運動部、編集委員、専属評論家を経て現職。トーナメントの
テレビ解説、コラムなど幅広く活躍。日本プロゴルフ協会(JPGA)理事、
日本ゴルフトーナメント振興協会メディア委員会委員、世界ゴルフ殿堂
選考委員。1939年11月、東京生まれ
Date:2010.04.20 Category:リポート





