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文:大山 郁夫

国内プロゴルフツアー3人目となるアマチュア優勝を飾った松山英樹選手
13日に終了した「三井住友VISA太平洋マスターズ」は、
弱冠19歳のアマチュア・松山英樹選手(東北福祉大2年)が
百戦錬磨の強豪プロを押さえて、プロゴルフツアー初優勝を飾りました。
なお、アマチュアでの国内プロツアー優勝は80年9月、「中四国オープン」での
倉本昌弘(現シニアプロ・永久シード獲得)、07年5月「マンシングウェアKSBカップ」
での石川遼(当時高校1年)に続いて3人目の快挙となります。

百戦錬磨のプロたち谷口徹(手前)、鈴木亨を押えて嬉しいプロツアー初優勝
松山選手は今年4月、米国・オーガスタで開催されたゴルフの祭典「マスターズ」で
27位タイに入り、日本人として初めてローエストアマ(ベストアマ、またアマチュア参加も
日本初)に輝くなど、その将来性が高く評価されていた選手です。
この「マスターズ」出場は昨年新設された「アジア・アマチュア選手権」で初代優勝を遂げ
招待されたものですが、今年の同大会でも連覇し、すでに来年の「マスターズ」切符と
「全英オープン」出場資格を手にしています。

今年の「アジア・アマチュア選手権」も連覇し来年の「マスターズ」と「全英オープン」の切符をすでに手中に。
彼の最大の武器は何と言っても豪打です。180センチ・85キロという
プロゴルファーとしては恵まれた体格に加え、持って生まれた体の柔らかさを
フルに使い、今回のトーナメントで記録した平均飛距離300.33ヤードは
全選手中、第2位と言う驚異的なものでした。
しかし飛ぶだけではプロのトーナメントは簡単に勝てません。今回の松山選手は、
その豪打に続く正確なアイアンショットが随所に発揮され、バーディやイーグルを
マークする大きな要因になっていました。

最終ホールでも渾身の力で豪打を放つ。このナイスショットがその後のイーグルを呼び込んだ。
しかし当の松山選手が最も得意とするクラブは何とパターのようです。これには
ちょっと驚きです。確かに普段のアマチュアゴルファーではとても体験出来ないほど、
トーナメントでのグリーンは速いのですが、それを攻略するためには卓越した
パッティング技術が要求されます。
パットが得意という松山選手だからこそ、あの“ガラスのグリーン”と言われる
オーガスタの速いグリーンにも負けなかったのです。さらに今回の会場となった
太平洋クラブ御殿場コースのグリーンも、実はそのオーガスタに似たような
速さと傾斜を持っていたのは奇遇のような気もします。

つねに強めに攻めるパッティング。今後は豪打よりもむしろこのパッティングが最大の武器になるはずだ。
アマチュアながらプロのトーナメントで優勝した松山選手のこれからは
何かと大変です。
でも、今回の大会のような最終日、最終組、最終ホールの第2打目のシーン。
最初に打った谷口徹プロ(単独2位)がイーグルを狙える場所に2オン。
次に鈴木亨プロ(3位タイ)も2オンに成功しました。
残るは松山選手ただ1人。1万2300人を超す大ギャラリーのすべての視線が
彼1人に集中していました。残りが177ヤードのセミラフ地点。
ただでさえ優勝がかかるこの場面は、数々の勝利を手にしたベテランプロでさえ
その緊張が最高潮になるところです。ましてや追い上げたプロたちが
先にナイスショットしてプレッシャーをかけています。
しかし、そんな緊張など全く感じさせない、むしろゆとりとも取れる仕草で
躊躇なく8番アイアンを選択しフルショット。ジャストミートされたボールは
ピン右50センチに付くスーパーショットでイーグルチャンス。
とても19歳のアマチュア選手とは思えない完璧なゴルフでした。
まさに“お見事!”の一言です。
自分自身で初優勝を引き寄せたこの高い精神力が、これからの松山選手の
ゴルフをひと回りもふた回りも大きくするはずです。
ここで気になるのが松山選手の今後の動向です。
プロのツアー競技で優勝したアマチュアの松山選手には、その時点で
プロ転向宣言すれば無条件で2年間のシード権(石川遼は優勝翌年の1月に
この資格でプロ入り)が与えられます。しかしこれに関して当の本人は、
当面は学業を優先すると明言しています。

表彰式で並ぶ石川遼とはジュニア時代からの仲。いつもとは立場が逆転しての1コマ。なお、石川は優勝翌年にプロ転向宣言してプロになった。
仮に今、プロ転向宣言したらアマチュア資格で得られた来年の「マスターズ」への
参加が断たれてしまいますので、その点を考慮して現段階でのプロ転向宣言は
ないはずです。
従ってプロになりたいということなら早くとも来年4月の「マスターズ」終了後か
7月の「全英オープン」終了後が、今は最有力視されています。
なお、今回の優勝で松山選手は世界ランキング(注1)も541位(アマチュアでは6位)
から345人抜きで自己最高位を大幅に更新して196位となりました。
現時点では今年の「全米オープン」ベストアマのパトリック・カントレー(米国)を
抜いてアマチュア世界NO1となっています。
今週は国内最高賞金がかかる「ダンロップフェニックストーナメント」(宮崎県)です。
その活躍いかんではさらに順位を上げることが予想されます。
日本のゴルフ界にとっても世界に通ずる逸材の誕生は実に喜ばしい限りです。
注1:世界ランキングの算出方法
過去2年間のトーナメントで獲得したポイントを出場試合(40試合以下の場合は40)
で割り、平均ポイントを出してランクを付けるもの。順位が高いほどその試合で
獲得できるポイントが高い。
また、試合(賞金総額や世界ランキング上位の選手が参加)によってもポイントに
差があり、海外メジャーなどレベルが高い大会ほど獲得ポイントも高くなっている。
現在はこのランキングが重要視され、「マスターズ」などのメジャー競技は50位まで
の選手に、無条件で参加資格を与えている。
なお、2011年11月15日現在の世界ランキング第1位はルーク・ドナルド(イングランド)。
(日本人トップは石川遼の49位。タイガー・ウッズは50位)
写真はJGTO(日本ゴルフツアー機構) http://www.jgto.org/
及びGDOから http://www.golfdigest.co.jp/